どうして彗人社という名前にしたのか

すいじん と声にだすと,
水神 を思い浮かべる人が多いようだ。
さらに,店の人に領収書を頼むとき,
彗の字が書けないという方が多く。
申し訳ないという気持ちになることもある。だが,仕方がない。
面倒な字になることは覚悟していたし,それ以上に想いがあった。
やさしい耳障りのいい名前にしたほうがいいと行ってくれる方がいた。
どうして,そこまで彗の字にこだわったのか。
ほうきには,Aboutに書いてあるとおり,
彗の字義は「ほうき」で,三つの含意があります。一つ目は,掃除道具。二つ目は,ほうき星。三つ目は,精霊を呼ぶ祭器。
芸術にも上記の三つが大切だと思うのです。生活に溶け込み,祓い清めること。暗黒の空に思いかけずに飛来し,願い事を託すように作ること。最後に,畏怖の念を感じる力が宿っていること。
このような意味で,彗人(ほうき人)として社会と関わっていけるようにという願いから,彗人社と名付けました。

まさに,上記の通りなのだが,
そこに行きつくまでには,様々な名前が去来した。
当初,わたしは藝術身体研究所 所長として活動をしていて,様々な公演やイベントの演出を行って来たから,そのまま,この名前を踏襲しようかとも思った。
だが,名前に思い入れがあるだけに,そのまま持ってくることに対して抵抗もあった。
藝術身体研究所は,あのときのわたしのライフスタイルと直結していて,藝術と身体を研究することは,これからも一生するだろう。だから,わたし自身が藝術身体研究所であるという想いであったからであった。いまも変わらぬ想いがある。
だが,今回は,飯田知子との二人の場所である。そして,切っ掛けが飯田知子が書いた落書きであり,落書きから作った絵本を子どもに読み聞かせていたところから始まった絵本だったからだった。

ぼくはいる_落書き

以下のようになる。

そして,実は,長男の名前に,この彗の字をつけたことに由来している。
だから,会社の名前のほうがあとだった。
彗はもともとほうきの意味があった。
じゃあ,なぜほうきの意味を長男の名前に付けたかといえば,
長男の生まれた2013年は,東日本大震災から2年であった。
地震と津波の被害のあと,がれきの問題がニュースでも大きく扱われていた。ただの瓦礫ではない,想い出のつまった家や家財や町の一部分が積み重なったものだ。また,そこに放射能という大きな負のおまけがついていた。さらに,2013年は台風の多い年だった。
長男の名前に彗の漢字を使った。

この時も大竹宥煕さんに名前を書いて頂いた。
その記憶もまた彗人社の名前を大竹宥煕さんに依頼したことにつながる。

彗人ロゴ(大竹宥煕さん)

白川静の字統を参照し,漢字の字義を調べ,名前をつけるようになった。
漢字は呪術であり,一つ一つに物語がある。
その彗という漢字の船に乗り,
彗人社,飯田晃一と飯田知子,二人の芸術を世界へ解き放ちます!

彗人社ロゴ