Dohriki 舞踏公演『秋風』

Dohriki 舞踏公演『秋風』

2021年10月24日にサイガバレエでの舞踏公演が決定しました。

2011年、ぼくは東京の荻窪の事務所から東京、神奈川、千葉圏内の配達の仕事をしていた。
3月11日は、横浜での仕事終わり、ちょうどお客さんに荷物を渡した瞬間だった。
ハイエースがジャンプした。ご婦人は狼狽し、ぼくの手を握った。
ただ商品を渡すだけの関係が崩壊し、揺れが収まる数秒、強く手を握りあった。
高速の入り口は閉鎖され、一般道の信号は点滅がなく、
国道は渋滞だった。
細い山道のようなところを抜けて、とにかく、近い道、細い道を選び、
なんとか事務所へ着くと、「今日はみんな現場から家へ直帰している。電車もとまっているから、このまま車で帰って、
明日、また来てくれ」と上司の指示だった。
帰路の道には、歩行者と自転車が列を作っていた。
家へ着き、ニュース映像をみて、何が起こっているのだろう。
東京は計画停電が行われ、ぼくの周囲では自粛、それが終わるとイベントの売り上げの募金が行われた。
ぼくは何をしているのだろう。何が起こっているのだろうか。それから、1週間が経ち、3か月が経ち、1年が経ち、恋人と別れ、人間関係、友人関係、仕事も変わり、子どもが生まれ、父が亡くなり、福島の海へ家族を連れて行った。それから、また数年が経ち、尊敬するアーティストが亡くなり、
あれから10年が経った。

よしゑやし 戀ひじとすれど 秋風の 寒く吹く夜は 君をしぞ思ふ
万葉集第10巻 2301の歌(作者不詳)より

秋の寒い風が吹くころ、ぼくはいなくなった人たちのことを思い出すのです。
今回の踊りは、コロナ禍のことではなく、あのときのあのこと、ぼくらは「恋をしている」とは、けっして言わない。
あのとき「わたしは確実に恋をしていた」と過去を振り返り言い、
そして、「いまも恋しい」と思うのではないでしょうか。
2021年10月24日、ぼくは踊ります サイガバレエの秋の風に吹かれ

舞踏家・Dohrikiのソロ舞踏公演。

ピアノ・大久保みどりによる演奏。
実施日時:2021年10月24日(日) 午後5時30分開場 午後6時 開演
料金:2,000円
会場:サイガバレエ 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-20

BUTOH dance by DOHRIKI
舞踏 動力
Profile
アスベスト館で元藤燁子に師事し,舞踏を学ぶ。2004年,藝術身体研究所設立。「ダンス白州2007」や「春川インターナショナルマイムフェスティバル(韓国・春川)」,舞踊作家協会の公演などのダンスフェスティバルに参加。舞台の他,ライフワークとして戦跡で踊る「世界中が劇場であるプロジェクト」がある。これまで原爆ドーム,第五福竜丸,NYワールドトレードセンター,など世界各地で踊ってきた。現在、二つのプロジェクトが進行中、一つはアウシュヴィッツ収容所で踊ること、二つ目は、5歳まで在日韓国人であったことが判明し、ドキュメンタリー映画を製作していることで、いずれも実現に向けて活動中。
https://dohriki.wixsite.com/butoh

Piano by Midori Ohkubo
ピアノ 大久保みどり
Profile
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。野田暉行、島岡譲、川井學の各氏に師事。作品には、田山洌山氏委嘱の尺八と箏のための『みずぎわ』などがある。また、ヤマハの教材に多くの作編曲を提供している。和声や対位法の指導に定評があり、藝大や桐朋をはじめ数多くの受験生を合格させている。
https://www.youtube.com/channel/UCnww2fhZKhUDfN31gfuViRw