足立 家 タッタルさん

タッタルさんが出たという 
飯田くんのゆめのはなしだ 

ふとんをかぶり、まだ呆然というか表情をつくるような顔ではない
目を細く
遠く ちょっと現実に今 たどりついたような顔をしてる 

「タッタルさんてしってる?」
なにか かわいい響きだ 
「タッタルさんてこわいんだよ」

本当に今見てきたようにいう
不気味だ
タッタルさんは
別れた奥さん 家を出たあと彼氏を連れて戻ってくるらしい 
そして彼氏といっしょにまたくらしはじめたのに また 
彼氏とでていく 
しかも フランクフルトを畳みにさして
そんなときに旦那が叫ぶ声を指導するのがタッタルさんらしい 
飯田くんの夢は浮き世はなれして、感情もない感じがある、今回は、ちがう、整理整頓してなにかのそうねんにあたったのか、そういうかんじだ
長渕剛の
「家族」というなかにでてくる
殺したくなるよなゆうぐれの赤 
という言葉がある 

おうおうと
月がほえる 

という歌詞も「月が吠える」にあり 
もし タッタルサンがいて 指導するなら 
そんな 叫びのような気がする 

何かがにくいのではない、
生活を 自分を嘆く
怒りと悲しみが混じったような
乱暴だけど 沸点が高いもの 

悲しいんじゃないかと 憎しみじゃなくと飯田くんはいった 

でも叫びってなんか 混乱
憤り 
納得しないうちに 
沸点がきてしまったような感情 
コントロールつかないもののようなきがする 

チョンギラれた生の断片

しかも 
憎しみ でも 愛でも 縛られながら そこで生きていく 
かんじがする 

穏やかな幸福かんもある、それはすごい、でも、満たされてる時代のものかもしれない、
満たされない人が 向こうに水がある、あったかい、食べものがある
といったら、人間はそっちいく。それを咎めることができるか?ということだ。

人間は生活に縛られる、
子供にご飯をあげよう、
家族が孤立し、
国が自分の国だけ考える、


でもそれがスタートだと思う、人を大事にする、人が人とくらしていく、
もちろん、なかにはいる、自他の区別、身内だとかどうとかなく、もってけどろぼうと差し出せる人が、でもそれも差し出せるものが自分自身にしろ、ものにしろあったらだ。

殺したくなるような
夕暮れの赤、朝日でない、
斜陽なかんじがする、

激情でないときがすまない その不器用さたぶんタッタルさんがきてしどうされるこえがあったら怒りとにくしみと愛と悲しみ いりまじったようなもので
もしかしてそれは 矯正されるべきなのかもしれない。
でも、歪んでいる、だからより、 
乱反射して抜け出せない光が瞼に残るのかもしれない

足立区にいたとき タッタルさんがきて去ったような場所に住んでた 
奥さんが出ていき、一人コオロギとしゃもをかうおじさん 
間借りしてた 
息子さんもいた 
お母さんはいないがそのないという存在感は凄かったし 
それに支配されていなくなってから時は止まっていた 
ものはつみあげられ 増えてく一方 
息がつまりそうなもののおく 
布団の部屋にコオロギをかっておじさんは住んでた 
台所に水をくみにいくとふすまの奥からたまにコオロギのかごがみえた 

タッタルさん
響きがかわいいだけに不気味で怖い

青ざめる一歩手前、 叫びだす 狂う直前 
その臨界地 線 に 
正気と狂気の境目 奈落の間にタッタルさんは住んでる 
正気だけでもつまらない 狂気だけでもなにも見えない 
正気と狂気の間の奈落が絶望なのかもしれない 

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そんな状況でなくても不幸でも幸福でも いきなりつきつけられる、いやでもその状況に限定されるのかもしれない、タッタルさんにしろ、長渕剛にしろ、家族
が題材だ。ある限定された状態、生活の中だけにいる、周りと隔絶されたような時、または異なるとき、生活の中にいる、それが煮詰まる、
沸点を向かえる  それが殺したくなる夕暮れの赤、だし、その後の歌詞の
垂直に人生を考えていた
だと思う。
垂直に感じる人生は、飯田君の夢の中では畳に刺されたフランクフルトだ。

しかし、なんたる感受性というか濃厚さだろう、救いがそこにしかない、血があり、どう切り開いていくか見いだせないとき、愛が暴力にもちかずく、愛のないところにタッタルさんは来ない、むしろありすぎる、
祈りとか逃げていない、その場にいるしかない受け入れる、鮮やかな色彩、生々しいコントロールされたり、名前をつけてタグづけされるようなものでない感情が入ってくる。
チョンギッた生の断片がなまなましい、これが叫びだ
しかし、足立区のおじさんでいうならもしかしたら、チョンギッた断片、きっさきが、生活の中ででた男女の部分なのかもしれない生活のなかではおさまりきらない
だから会わなくてもはなさなくても対話があったのかもしれない
川の向こうぎしと向こうぎし、川をはさんでまじわらない、

切り立った 崖っぷちタッタルさんが透明に見えたり見えなかったり 

吠える一匹の犬がいる
現実は常にその臨界をこえている 
狂気のなかにすんでいたい 

ひきずりだすタッタルさん
叫びをあげたら楽だが
沸点をもったまま 
生きた 足立区のおじさん は 私のなかにまだ 生きている