そこが見えない泥が池の底に広がっている。
淀んだ緑がかった渋い茶色い池のところどころに藁やあしが生えていて、影をつくっている。その密集する場所には何かで波紋泡がぶくぶくとでて何かがいそうだ。小さな、人がとおれるくらいの木の板の道が池にあり、芦が生えた浅い水溜まりにたいようが反射しあわぶくにひかりが映しだしている。黒い水溜まりのりのなかはそこがみえず別世界がをのぞきこんでいるようだ。キラキラと光っている。
泥から大きなデコボコした塊が飛び出してきた、
跳び跳ねるおれまがった足がはね宙をとんだ。
20センチ以上ある大きな蛙に、多分二匹の小さな蛙が背中の上にしがみついている。ドサッと塊は鈍く泥に着地する。蛙は水のなかではている 泥が動いているよう、茶色く照り返している
ヌメヌメ後ろにあしを蹴り
じょうげにゆれている
気持ちよさそう
一匹 また水にとびこみスイとおよぐ
やらかそうな筋肉
皮膚感覚がよさそうだ
ウェットスーツをきたような ひたっひたっと水面を揺れている
波紋ができる
ピョンとリズミカルに落ちる、かわいい声
をする
泥水の濁った 水面下亀かを鯉や 亀が泳ぐ水墨画のよう
三ぴき団子になった蛙達はぴくっぴくっと体勢を変える
他にも二匹おんぶで一匹をおぶる蛙もいる、
ふたり一緒にあしがはえた 泥に顔をだしまた水に飛び込み、消えていく、バランスが少し崩れるのか ユラユラ曲がりながら水にはいっていく
春のいけは、生ぬるい
そしてギャラリー
「子供とお母さんガエルがおんぶしてるね」、とはやしながら親子が橋の上から蛙を木の棒でつつき、冷やかす。石の上では亀がひなたぼっこをしている
周りを気にしながら 亀は
いけに落ちた
二人組の蛙はすっおよいでいる
スイスイ 水面
したにきえてゆく
揺れながら
快と不快が入り交じったような浅瀬
濁った生ぬるそうな
水 倦怠感や ため息が出そうなほどの光
春はもうはじまっている
もうすぐ
黒い卵の透明なくだが池にでき、オタマジャクシ
次男は漏らしたおしっこでオムツがしたにさがりはんけつのまま 泥遊びをしている
蛙達は泥のなかで動けないでお互い体勢をかえながらバタバタしている
身動きとれない快楽 怒鳴る、また泥の中で立ち上がり、転げる
子育ては楽だが身動きとれない部分はある、私がテキパキしたり、気負いがあるとその気配に子供も活発に動いたり、喧嘩する、なんとなしに動かなくちゃならない、一体のような感覚
泥にはまってしまったような、何匹かでうごめく
だから春はいい
冬はもう忘却の彼方にいってしまった
玄関先
洗った靴や 濡れたずぼんがほしてあり
ねこものぞきにくる
ちなみに多分
離れられないでいる蛙達は親子でなく、男女でくっついている
日のめにさらされ、くっついている