妻の知子には変わった友だち・知人が多くいる。それも結婚したあと、知った。
そのなかに、新宿タイガーもいる。
ぼくとタイガー( トモコ はタイガーと呼んでいるのでタイガーと呼ぶことにしている) との見たのは 、大学生となり、一人で新宿の映画館へ行くようになってからだった。20年ほどまえの話しだ。あのド派手な格好でチャリンコにまたがり、新宿東口を走る。前かごには新聞をいれている。どうやら新聞配達をしているようだ。だが、あれはなんなんだ。
その後何度か、タイガーを見かけた。もちろん、声はかけない。タイガーが歩いているときもあり、すれ違って、こちらが凝視をしても、タイガーは知らんぷり、見られていることに気付かないように、ひたすら前を向き歩き去っていく。
5年前ぐらいに、子どもと3人で映画をみたあとに、タイガーが前方から歩いてきた。トモコはすかさず、「タイガー!」と呼び止めた。最初、タイガーが気付かないふりをしたけど、「タイガー!タイガー!」と連呼をした。
「おー、おー、ともこちゃん」と感嘆の声を上げた。いやあ~久しぶりだね。旦那さん、いい男だね。本当、ともちゃん、好きなんだよ。幸せにしてくれよ。
と、言ってくださった。
それから、2,3年後。テアトル新宿で、映画『蜜のあわれ』をみたときだったと思う。映画が終わると前方にピンク色のフリフリが見えた。タイガーだった。映画館を出たあと、すぐに声をかけたが、やはり気付かないふりをされて、「ともこの旦那です」というと、すぐに振り向いてくれた。
おーおーと感嘆の声を上げて、迎えてくれた。
「新宿タイガー」というドキュメンタリー映画が公開される。是非、映画館へ家族全員で観に行きたいと思う。そのあと、出来たらタイガーにも再会したい。